厚生労働省の発表では、2021年における我が国の平均寿命は男性81.47歳、女性87.57歳ですが、いわゆる“健康寿命”とは各々約9年、約12年…と大きな開きがあるということです。
皆様が望むのは健康寿命をいかに延ばすかということと思われます。肉体的な鍛錬、精神活動の維持などが一番に思い浮かぶと思います。ただ、そのような活動ができる環境を維持するためには「まず重い病気にならないようにする」ということがとても大事な事と思われます。それにはどのような方法があるでしょうか。何等かの異常を感じる症状があれば、一般病院での診察、検査等が必要になります。そうではなく大した症状もなく元気に過ごしている人はどうすればよいのでしょうか。その時に思い浮かぶのは「年に1度程度受けるべき」と言われている“健診・検診”です。
ここで“健診”と“検診”との違いについて、少し説明を加えます。“健診”は健康診断の略であり、会社で行う定期健診や「メタボ健診」と言われている公的医療保険加入者を対象とした「特定健診」が主なものです。肥満ではないか、血圧は大丈夫か…など、体の全体的なチェックを行い生活習慣を見直すことが目的ですので、一次予防の検査となります。
一方、“検診”は特定の病気にかかっているかどうかを調べることを目的にしているため、がん検診や、歯科検診など、特定の臓器を検査します。早期発見、早期治療が目的ですから、二次予防の検査になります。
当院は“検診”を主目的とした施設です。検診には正確に病気などの異常を見つけ出す精度の高い検診能力が必要となり、精度管理の向上は大きな課題でもあります。現在の医学の進歩に遅れないように、内科専門医、呼吸器専門医、消化器専門医などの専門家が診療にあたり、外部からもそれぞれの分野の専門医の協力を仰いでいます。
そのほか、血液検査、放射線による検査、内視鏡検査、MRI検査など様々な検査を行う検査部門、保健師、看護師による保健指導、それを支えるエスコートスタッフ、検診車による出向検診など充実した体制を整え、より精度の高い検診を目指しています。また、精査、治療、経過観察を必要とする方々の精査受診率の向上にも努めています。
今や2人に1人が罹患するといわれる、がんの早期発見、生活習慣病の発見、生活指導、治療への指導などが充分にできるように、さらなる高度な検診を目指し今後も努力していく所存です。
高知検診クリニック所長 井上 修志