我が国は今や世界有数の長寿国になっています。一方人口の急速な高齢化とともに、がん・心臓病・脳血管疾患・糖尿病等の生活習慣病、及びこれに起因した認知症や寝たきり状態の増加は、少子高齢化の中でますます深刻な社会問題になると思われます。
このような状況の中で、私たち全ての関わりとして各人が日ごろから健康に留意して健康寿命を出来るだけ延ばすことが肝要です。その為に健診機関ができることは、受診者さんがもっている種々の病気の早期発見、そして早期治療への導入です。高血圧症・糖尿病・脂質異常症・高尿酸血症等の生活習慣病と各種がんの早期発見、早期治療のためには健診の受診率の向上が大切です。まず我々は健診の受診が非常に大切であると啓蒙するとともに、質の高い健診を維持していくことが必要です。その為には日頃から各検査部門が質の高い画像を提供する努力とともに、質の高い読影(画像判定)を維持していかなければなりません。また、外部第三者機関の精度管理調査(各検査の質の評価)に積極的に参加することや、日本人間ドック学会、日本総合健診医学会の機能評価を受審することにより、外部から施設の力量を評価されることも重要です。
より精度の高い健診も当然ですが、生活習慣の改善には医師、保健師、看護師からの保健指導の有用性が認められていることから、その対応も必要です。また健診の事後処理も重要で、私達は精査、治療、経過観察が必要にもかかわらず病院に行っていない受診者を減らすこと、いわゆる精査受診率の向上に努めています。精査受診率の向上に関してはどの施設も悩みの種ですが、出来る限り未受診者の正確な把握に努め文書・電話による受診勧奨の徹底と、職域健診では産業医、産業保健担当者を介した受診勧奨をするなど多方面からのアプローチが必要となります。
健診を受け早期がんが発見された、生活習慣病関連疾患の治療の遅れが無かって良かったなど、受診者の健診に対する満足度が向上すれば、自然と健診受診率、精査受診率が向上し、生活習慣の改善とともに各人の健康寿命が延びると期待し各部門で努力しています。
