白質病変とは、加齢や喫煙・高血圧・糖尿病等の生活習慣の乱れや生活習慣病より生じる、大脳白質内に存在する毛細血管が消失 (ゴースト血管化)してできた空洞(水の溜まり)であり、MRI検査では高信号域としてみられます。白質は毛細血管と神経線維で出来ていますので、白質病変内では毛細血管の消失に応じて神経線維も切断されている状態だと考えられます。よって、脳神経ネットワークが破綻している状態です(図1)。臨床では、広範囲の白質病変は認知症と関係すると言われています。中等度や軽度の白質病変では自覚症状はほとんどありませんが、詳細を調べますと安全運転に必要な遂行能力や動体認知力等が低下していることが報告されています(交通科学2015年)。高齢者の危険運転には白質病変が関与しているかもしれません(プロスワン2014年)。白質病変は、受動喫煙や140から160mmHgの高血圧状態(通常は様子を見ている範囲)であっても増加(悪化)していることが、当センターの調査から判明しています(Journal of Clinical Medicine 2019)。よって、白質病変の進行具合によって、禁煙指導の強化や血圧管理の評価(降圧剤服用時期の決定や降圧剤の変更など)に役立てています(図2)。